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弁護士コラム

カテゴリ:離婚調停

【婚姻費用減額12万→6万円、養育費減額10万→4万円】婚姻費用と養育費を算定表を超えて減額しました。

2022年12月19日  離婚手続, 離婚調停 

相談事例

相談者様は、本件依頼時30代の男性です。
相談者様には、配偶者である相手方と相手方との間に子どもがいました。
相手方は、ある日突然子供とともに行方をくらまし、婚姻費用分担調停と離婚調停を申し立ててきました。
相手方の身勝手さに怒りを覚えた相談者様は、突然の請求に驚き、当事務所の弁護士に相談し、弁護士に本件事件を委任しました。

解決結果

1.相談者様は、離婚自体はやむなしと考えていました。また、財産分与として特に分与するような財産もありませんでした。本件で一番の論点になったのは婚姻費用と養育費の額です。

2.相手方からは代理人弁護士を通じて婚姻費用として12万が求められていました。算定表を単順に当てはめると12万円に近い金額になりました。ただ、相談者様には住宅ローンや相手方との婚姻生活の中で借り入れた借金の返済などがあり、月12万円もの返済をすることはできませんでした。他方で相手方は生活保護を受給しており、当面の生活に困ることは全くありませんでした。
こちらは、借金の返済の状況や相手方の生活費用の立替などを主張しましたが、裁判所より、裁判所が審判で判断すれば10万円になると言われていました。

3.このとき、相手方が相談者様と一緒に住んでいた自宅に残してきた相手方の物品や子供の用品を引き渡すように要求してきました。弁護士は、ここが相手方の弱みであると考え、相手方の物品の引き渡しをする代わりに婚姻費用の減額を迫りました。また、相手方に対して審判になったら任意では支払わない、強制執行するように告げました。これは、相手方が生活保護受給中であり、弁護士との契約が法テラスを介したものであることが想定されたため、強制執行をすることになれば弁護士にとって費用対効果があわなくなるだろうことも計算に入れてのことでした。このような駆け引きの結果として婚姻費用は12万円から6万円まで減額され、相談者様の収入の中で支払うことができるようになりました。

4.養育費についても相手方は再度10万円の請求をしてきましたが、婚姻費用で6万円と決まった以上、それ以上養育費が認められるわけもありませんでした。当方としては養育費は4万円で、裁判所の判断でこれ以上の金額になるならば任意の支払はしないと再度圧力をかけ、最終的に養育費は4万円とした離婚が成立しました。

弁護士のコメント

相談者様が借金で苦しんでいたのは、相手方との生活を維持するためでした。それにも関わらず、一方的に子供を連れて別居し、借金をした経緯を無視して高額の婚姻費用と養育費を得ようとしていたのはおかしいと思い、減額するべく戦いました。
裁判所すらも一時は高額の婚姻費用を認めるような話をしていたこともあり、一時は悩みましたが、相手方の弱点を上手くついて婚姻費用と養育費の減額に成功することができました。
相談者様にも喜んでいただけてよかったです。

調停離婚のメリットとデメリット

2022年6月13日  離婚手続, 離婚調停 

 離婚調停とは、 家庭裁判所において調停員が間に入って話し合いを進め、離婚を行う手続です。必ずしも離婚を目的とするだけでなく、夫婦関係調整調停という形で夫婦が円満になるように求める形でも利用されます。

 離婚調停は、裁判と違って非公開の調停室で行います。調停委員さんは男女1名ずつの合計2名です。離婚調停では、当事者が顔を突き合わせずに、順番に調停室に入って調停委員に話をする形式で行われます。互いの言い分は調停委員さんを通じて相手方に伝えられます。弁護士が就いていても、基本的に当事者に出頭が求められます。また、離婚成立時には当事者の意思確認のためにかならず当事者が出頭している必要があります。

 離婚調停のペースは思ったよりもゆっくりです。1カ月に1回から2カ月に1回くらいです。コロナ渦で人の数に配慮するようになったためかなかなか期日が入らないことがあります。

 離婚調停のメリットは 中立を建前とする調停委員を交え冷静に話し合いができます。前回の動画でも話した通り、夫婦の力関係に差があるなどの要因がある場合でも、落ち着いて自分の言い分を伝えることができて、一方的に不利益な条件を受け入れさせられるといったことは少なくなります。また、夫婦のどちらが子供の親権者にふさわしいかを判断するために家庭裁判所調査官による調査を実施したり、財産分与に必要な情報を開示させる手続といった、紛争解決機関としての裁判所ならでは手続があります。あとは、調停委員がしっかりとみていることもあって、養育費をきめわすれるとかの離婚条件に漏れがあるということは比較的少ないように思います。また、ある程度議論が進むと裁判所から調停案が出されることがあり、それを起点に話し合いが一気に進むこともあります。

 離婚調停のデメリットは、やはり協議離婚と比べて時間がかかることです。争点が多いと2年以上かかることも珍しくありません。あとは調停委員も当事者から見たときに完全中立と言えない場合があります。調停委員にも色々なキャラクターがあり、当事者と相性が悪く、思うように言い分が伝えられない、言い分を理解してもらえない場合があります。また、調停委員さんにそのつもりがなくても、一方当事者にばかり譲歩を迫ってしまい、その進行に不満を感じるケースもあります。

 離婚調停が満足いく内容になればいいのですが、そうでないことよくあります。このような場合には弁護士に依頼して自らの主張を展開し、自分の納得いく解決を模索することも一つのやり方です。

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