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弁護士コラム

相手方にストレスをかけ続け、有責配偶者から離婚請求を実現させました。

2021年7月19日  未分類 

■相談事例

相談者様は、本件依頼時30代の男性です。相手方である妻との間に小学生の子2名がいます。相談時の時点で結婚歴約12年でした。婚姻中に毎月約12万円の住宅ローンを組んで自宅不動産を購入していました。自宅不動産は立地に問題があったため、オーバーローンの物件でした。
相談者様は、年収650万円程度の収入があり、相手方もその給与はわかりませんでしたが、正社員で働いていましたので家族世帯でみたときには十分な収入がありました。しかしながら、家計の管理を相手方がしており、毎月4万円というお金を渡されるだけで、相談者様は、収入に比して苦しい生活を余儀なくされていました。また、相手方からはぞんざいに扱われ、家庭での居場所がありませんでした。
相談者様と交際関係となる女性(以下、「交際女性」と言います。)と出会い、相談者様は不倫関係になりました。そして、相手方との離婚を考えるようになり、相手方に対して離婚の申し入れをしたところ、相談者様と相手方は別居するようになり、申立人は自宅不動産を出て、交際女性とのもとで生活することになりました。
その後、交際女性が相談者様の子を妊娠していることがわかり、交際女性は子供を出産しました。そして、相談者様は、交際女性との子供を認知しました。
別居時に婚姻費用のことは取り決めておらず、それまでどおり、相談者様の給与の入る口座を相手方が管理していました。相談者様は、毎月4万円のもらいに行くという生活をしばらく続けていました。しかし、交際女性も出産のため働けくことができなくなり、生活が苦しいことから、相手方から給与口座の通帳とキャッシュカードを返却を受けましたが、その後も住宅ローンと毎月平均12万円余りの婚姻費用を支払い続けていました。
このような状況の中で、相談者様は離婚調停の申し立てをしましたが、相手方が出頭せず、調停は不成立に終わりました。また、当事務所の以外の別の弁護士に委任して事件処理を依頼しましたが、離婚する勝算を示すことができず、頼りなく感じていました。なお、相談者様が弁護士に依頼して間もなく、相手方も弁護士に依頼をしました。そこで、新たに何人かの弁護士に相談をしましたが、相談者様が有責配偶者であることから、どの弁護士からも概ね粘り強く交渉するしかないというアドバイスしかしてもらえませんでした。そのような中で、相談者様は当事務所の弁護士に相談し、その方針に希望を見出すことができたので、当事務所の弁護士に依頼することにしました。

■解決結果

1.弁護士は、相手方が同居を求めていないことから相手方が復縁を求めているわけではなく、相談者様に今後も住宅ローン及び多額の婚姻費用を負担させて、自分は負担なく自宅不動産に住み続けることが、相手方が婚姻を継続する目的であると判断しました。また、相談者様にはオーバーローンの不動産以外と実親に相手方との子供のためにかけてもらった学資保険以外に見るべき財産はなく、学資保険を含めても相談者様の総財産は債務超過にあることを相談者様の強みとし、離婚ができなければ自己破産を行うこと交渉材料に交渉を進めることにしました。自己破産になれば、第三者に自宅不動産が売却される可能性があり、それを相手方は嫌がると判断したからです。相談者様もいつまでも自分が住みもしない住宅ローンの負担をするのは納得いかなかったので、離婚が上手くいかない場合には生活を楽にするために自己破産をすることを決意していました。

2.弁護士は、受任通知を送るとともに、相談者様には交際女性との間に子供がおり、相手方との離婚する意思を固めていることから慰謝料を100万円支払うという内容の離婚条件案を提示するとともに、応じなければ債務超過を理由に自己破産などの法的整理を行う可能性があることを伝えましたが、相手方は離婚に応じませんでした。相手方が離婚条件に応じないたびに婚姻費用を切り下げていくことにしていましたので、相手方が離婚条件を拒否するたびに毎月に婚姻費用の振込額を減額していきました。相手方弁護士から婚姻費用をきちんと支払うようにとの抗議を受けましたが、婚姻費用の合意はなく、こちらが妥当と判断した金額を振り込んでいくとだけ回答しました。

3.また、相手方は相談者様との子供たちに、離婚が迫られていることを暴露してしまいました。そして、不安定になった子供たちの精神的フォローのため面会交流をするように相談者様に求めてきました。初めは面会交流に応じることにしましたが、相手方の精神を圧迫するため、相手方が離婚条件を拒否するたびにその回数や頻度を減らしていきました。

4.相手方が離婚条件を拒否し続け、婚姻費用が減額されていった結果、相手方はしびれを切らして、婚姻費用分担請求調停を起こしました。以前は裁判所に出てこなかった相手方を裁判所に引っ張り出すことに成功しました。
それに合わせてこちらからも、離婚調停と面会交流調停を申し立て、婚姻費用と併合して審理を進めることにしました。面会交流調停は相手方の間の子供との面会を行わないという申立です。相手方が自分の子供との面会にこだわっているようでしたので、離婚しなければ面会しないと伝える意図で申し立てました。また、断固たる態度を示すため、婚姻費用分担調停を起こされたのをきっかけに婚姻費用の支払を止めました。

5.婚姻費用分担調停では、相手方の収入がこちらの想定よりもかなり大きいことがわかり、相手方がそれなり自分名義で財産をため込んでいることが予測できました。そこで、財産分与になれば相談者様が相手方からかなりの分与を受けられる公算が大きくなりました。また、婚姻費用も大きな金額にならずに済みそうでした。

6.しかし、離婚調停については有責配偶者であるため、調停委員の対応は冷たく、「早く相手方が納得するような離婚条件をもってくるように」というばかりでした。財産分与を主張しているにもかかわらず、双方の財産開示にすら消極的でした。弁護士はあまりに冷淡な態度をとり続ける調停員に対してけんか腰で厳しく対応し続けました。弁護士が「この離婚調停でまとまらなければ自己破産すると伝えてください。」と言うと、調停委員も「そんな発言していいんですかね。」と言い返してきましたが、弁護士は「いいんですよ。そのまま伝えてください。」と伝えました。

7.このように調停員に対処しつつ、調停を続けた結果、最終的に慰謝料200万円、財産分与として自宅不動産の名義変更と住宅ローンの名義変更(相談者様は住宅ローンから解放されました。)、養育費子供一人につき2万6000円という条件で離婚が成立しました。面会交流については特に何も決めずに終わりました。また、早期離婚が一番の希望でしたので、財産分与についてはそこまで追求しませんでした。なお、相手方は交際女性についても慰謝料請求をしていましたが、あわせて調停することとし、交際女性と相手方との間には何らの債権債務がないという条項だけが設けられました。

■弁護士のコメント

かなり苛烈な方法をとったと思いますが、相談者様はこちらのペースで離婚を進めることができたととても喜んで頂きました。

交際女性との間に子供ができて認知していることから有責配偶者であることは戸籍謄本をみればすぐにわかる状態でした。もちろん、有責配偶者となれば離婚条件が厳しくなることはよく知っています。ただ、有責配偶者であることは確定してしまっているので、これ以上、不利にもならないとも考えていました。そのため、容赦なくなくこちらの強みを生かし、相手方の弱点を突き、ストレスを与えることに注力できました。相手方に、①自己破産により、自宅不動産がなくなるなり、引っ越しだけでなく子供たちの転校を余儀なくされたりすること、②当たり前に手に入っていた婚姻費用が手に入らなくなること、③財産分与として多額の財産を負担させられること、という3つの恐怖とストレスを与え続けた結果、無事に離婚することができました。

今回の勝因は、有責配偶者であるという時点で思考停止せずに、状況を冷静に分析して戦略的に行動したこと、裁判所の妙な圧力に屈しなかったことだと思います。

ギャンブル依存症者の夫との離婚を速やかに成功させ、離婚後の財産や養育費を確保することができました。

2021年4月22日  慰謝料請求 

■相談事例

相談者様は、本件依頼時40代の女性です。

相談者様は、相手方である夫(以下、「相手方」と言います。)と成人した子供1名と未成年者の子供1名の4人家族で生活していました。

相手方は、会社員として普通に生活をしていましたが、ギャンブルに深くのめりこんでおり、家のお金を使い込んだり、消費者金融から借金したりしてまで、ギャンブルをするようになっていました。相談者様は、夫がギャンブル依存症ではないかと考えましたが、夫は相談者様が話をしても自分はギャンブル依存症ではないと考えて特に治療などの行動に移しませんでした。一方、相談者様はギャンブル依存症者の家族の集まりがあることを知り、そこに足繁く通った結果、夫がギャンブル依存症者であることを確信して、勉強したり、助言の受けたりしながら夫のギャンブル依存症の問題に向き合っていました。その中で、給与の入る相手方名義の預金通帳、印鑑、キャッシュカード等を預って管理するとともに、相手方に1か月分の必要なまとまったお金を渡して生活するようになりました。

しかしながら、ギャンブル依存症は次第にひどくなっていき、消費者金融の借金から増えて350万円ほどまで借金が膨れ上がりました。また、自動車ローンのボーナス払い用のお金に手を付けてギャンブルにつぎ込んでしまい、自動車ローンを延滞することになってしまいました。なお、自宅の住宅ローンについては遅滞していませんでした。そのような中で夫婦の仲は悪くなっていき、口もきかなくなっていきました。

そして、相手方から離婚の話を持ち掛けられるとともに、相手方から財形貯蓄の解約用紙に印鑑を押すように言われました。その際に、相手方は自宅不動産から出ていく旨を告げていました。

相談者様は、離婚をするのかしないのか、離婚をした場合に今後の生活をどうするのかを考えるべく、当事務所に相談しました。

 

■解決結果

1.相談者様は、相談時点で離婚はやむを得ないと思っていました。一方で、自宅不動産には住み続ける意向はあったものの、相手方がきちんと支払ってくれるかどうか不安ということ、未成年の子供の養育費をきちんと支払ってくれるかということ及び今後の生活費について悩んでいました。

2.弁護士は、離婚に至る経緯を聞いた後に、相談者様と相手方の預貯金、生命保険、財形貯蓄の金額や自動車、自宅不動産などの財産関係について詳細に聞き取りをしました。夫の財形貯蓄が約278万円、その他に夫名義の定期預金600万円があることがわかりました。そこで、①金銭については夫の関心事である財形貯蓄を夫に全額渡す代わりに、定期預金から500万円(内訳:養育費154万円一括、財産分与346万円)を受け取ること、②ローンの完済している夫名義の軽自動車の財産分与を受けること、③自宅不動産については相談者様が財産分与を受けて、相手方が住宅ローンと税金関係を負担すること、を内容とする離婚条件案を提案しました。

相談者様は、相手方が住宅ローンについてきちんと支払きれるかどうかということを気にしていましたが、協議離婚書で合意することはできるものの、究極的には相手方次第であることから延滞によって自宅不動産を失う可能性があることを前提に少なくとも当面環境も変えることなく、住宅費の負担なく、住めるということをメリットと考えて、それまでの間に家族の財産を充実させていくことが重要であり、仮に相手方が完済まで至ればそれは儲けものと捉えた方がいいのではないか、と話したところ、相談者様は納得してくださいました。

また、相手方が財産分与の金額が大きすぎることについて不満を述べた場合には、離婚には直ちに応じられないことと相手方の退職金についても財産分与の対象とすることもできるが(財産分与額の増額)、今回はあえて財産分与の対象としていないことを説得材料として話し合ってみたらどうかということも助言しました。

3.このような相談結果で決めた上記条件を相談者様が相手方に伝えたところ、相手方がその条件で離婚条件を受け入れたので、相談者様は弁護士に協議離婚書の作成を依頼しました。それを受けて弁護士は相手方の気が変わらないことが重要と考えて2日で協議離婚書を作成して、相談者様に渡ししました。

4.その後、相談者様は相手方と協議離婚書を交わして、離婚届を提出するとともに養育費の支払や財産分与についても協議離婚書のとおりに行うことができました。その間、相談者様が迷われる場面もありましたが、弁護士の助言を受けて上手く解決まで持っていくことができました。

 

■弁護士のコメント

1.今回の事件では、相談者様と相手方で話し合いができる状況であり、相手方を無駄に警戒させる必要もないとして代理人として介入することは控えました。

2.ギャンブル依存症については依存症者本人の問題(法的問題としては借金問題や窃盗や横領などによる刑事事件)とその依存症者の家族の問題(家族が依存症者によって経済的な不利益を被ることなど)があります。

本件は依存症者の家族である相談者様やお子様たちに被害が生じるのをどのように防ぐかが問題でした。今回、相談者様は相手方名義の通帳や印鑑やキャッシュカードを管理していましたが、相手方の名義である以上、手段を尽くせば、相手方においてそれらの管理を取り戻すことは可能な状況にありました。したがって、今回の問題は、ギャンブル依存症が進行することで家庭の財産が流出してしまうことを防ぎ、相談者様やお子様達が経済的に困窮しないようにしなければなりませんでした。

3.今回速やかに離婚を成立させて、養育の支払と財産分与を完了させることができ、目的を達成することができたので嬉しく思います。相談者様にも速やかに解決できたことで喜んでいただくことができました。

4.今回の問題を通じてギャンブル依存症問題において弁護士ができることは多いと実感することができました。これからギャンブル依存症に関する問題について積極的に関わっていこうと決意しました。

お子様の親権を相手方へと変更しました。

2021年3月29日  親権 

■相談事例

1.相談者様は、本件依頼時20代の女性です。相談者様と相手方は、本件依頼時の約5年前に、相手方が仕事をせず、就職しても長く続かなかったこと、家事や育児に対して全く協力的でなかったこと離婚しました。元夫である相手方との間に小学校1年生(本件依頼時)のお子様が1人いますが、その際にお子様の親権は相談者様が取得しました。

その後、相談者様はシングルマザーとして働きながら懸命にお子様を育てました。また、相談者様は、相手方を軽蔑し、強い嫌悪感を抱きながらも、相手方とお子様の面会交流を定期的に実施していました。

2.ところが、ある時、たまたま都合がつかなくなり、面会交流が2回連続で実施できなかったことがありました。そうしたところ、相手方は、深夜に男性4名で相談者様宅に押しかけ、未成年者と会わせるように強く迫ってきました。相談者様は多人数で押しかけられたことで怖くなって居留守を使いました。そうしたところ、相手方らは、相談者様がお子様を虐待しているという虚偽の通報をして、警察官を呼び出し、警察官のいる前で、「お子様を病院へ連れて行く」、「お子様の安全が確認できないと帰らない」などと言い張りました。

相談者様は、虐待など全くしたことがなく、夜間の救急病院にいけばすぐにその疑いは晴れると考えたため、警察官の説得を受けて、相手方と翌日午前10時までにお子様を連れ帰るという約束して、未成年者を相手方に引き渡しました。ところが、相手方らはその約束を破り、お子様を返そうとしませんでした。

そこで,相談者様は,警察に相談。その結果、相談者様は、警察の説得の結果、約束の日から2日後にようやく警察署でお子様を返してもらうことができました。相手方は,このトラブルの中で相手方が虐待をでっちあげてお子様を誘拐したと認識しており,相手方と関わりたくないとの思いを強く感じました。

3.その後も,相手方とお子様を我慢しながら継続していましたが、相手方が誘拐まがいの方法をとったことに対する不信が払拭されることはありませんでした。

そんな中、さらに児童相談所から、相談者様に、相談者様がお子様に虐待をしている疑いがあるとの連絡がありました。このことを受けて、相談者様は再度相手方が虐待をでっちあげたと考え、相手方を信用することはできない、理由をつけて再度お子様を連れ去ろうとしていると考えました。

そこで、相談者様は、相手方と連絡を断ち、面会交流をやめました。そうしたところ、相手方は、それまで行っていた養育費の支払を取りやめました。

その後、相手方は、家庭裁判所に対して面会交流調停の申立を行いました。それを受けて、相談者様は当事務所の弁護士に相談して本件事件を依頼しました。

 

■解決結果

1.相談者様の希望は、今後の人生で相手方と関わらないことでした。弁護士は、現在の家庭裁判所の実務が原則として面会交流を実施するとしていることから厳しいとは思いつつも、お子様と相手方との面会交流を実施しないということを目標に戦略を練りました。

まず、養育費の未払は面会交流の否定事由になること、離婚時に相手方が無職であることを前提に養育費の取り決めがなされており、その後、相手方が就職している可能性が高かったことから相手方に対して養育費増額調停の申立を行いました。その一方で、虚偽の虐待をでっちあげてお子様を連れ去ったこと、養育費を支払っていないことなどを理由に面会交流を拒絶する主張を展開しました。

2.そうしたところ、相手方は、未だに就業しておらず、未払となっている養育費についても暫く時間を経過しなければ支払う目途が立っていないと主張してきました。養育費増額調停については、このまま維持をしてもかえって養育費が減額されてしまう可能性があることや既に養育費の未払については裁判所に十分理解してもらえたことを理由に取り下げました。

3.相談者様は調停を進めながら、弁護士と話し合う中で自身の気持ちを整理していきました。相談者様は、今後の人生で二度と相手方に関わりたくないこと、ここで仮に面会交流を拒絶することが出来ても、しばらく時間が経過すれば相手方から再度面会交流の調停が申し立てられる可能性があり、結局相手方と関わりを持たざるをえないことから、相談者様は相手方にお子様の親権を譲ることを決めました。これを受けて、弁護士はお子様の親権者を相手方とする親権者変更調停を申し立てました。

4.その一方で、面会交流の審理は進み、家庭裁判所の調査官による調査が行われましたが、養育費の未払や相手方の誘拐まがいのやり方にもかかわらず、面会交流を実施するべきであるとの調査官意見が出されました。

5.そして、こちらから親権者変更に関する調停案を提案したところ、相手方がこれに同意しました。そして、親権者を相手方に変更する調停が成立するとともに、相手方は今後申立人に一切連絡をしないという合意が成立し、お子様を相手方に引き渡しました。

 

■弁護士のコメント

1.受任当初は、親権者を変更するということは全く想像できていませんでした。なぜなら、話を聞く限り、相談者様とお子様との関係はとても良好であり、親権者を変えるというのは想像できなかったからです。一方で、相談者様の相手方への強い嫌悪感を察することもできました。

相談者様は、今後の人生を考えていく中で自らの気持ちを整理し、親権を相手方に変更して2度と相手方にもお子様に関わらないと決意し、この結論に至りました。私は、相談者様の決意を尊重して事件処理しました。

2.裁判所からは、調停の席上、相談者様とお子様の仲が良好であることから親権を手放す必要はないのではとの意見も寄せられました。しかし、裁判所は面会交流を認める方向で動いており、相談者様の気持ちを理解できていなかったため、相談者様は裁判所の言葉に不信感を募らせるばかりでした。

私は、調停を見ていて、裁判所が相場の結論に落ち着かせるために手続を進めていると感じており、一つ一つの手続が形式的なものに感じられました。最初から決まった結論に押し込むための、形式的な手続では当事者の理解や納得は得られないのではないかと思いました。

3.今回の事件で、事件を解決する方法として、親権を手放すという方法があるということがわかりました。親権者となるとお子様と一緒に生活できるという反面、重い責任が伴います。一方で様々な事情から親権を維持することが望ましくない事情もあると考えられます。例えば、親権者の著しい体調や経済状況の悪化、ストレスからお子様を虐待してしまうことなどの事情が考えられます。このような場合に親権を元配偶者に変更するという方法は一つの解決手段として取りうるのではないかと思いました。

不貞関係の立証に成功し、有利な解決を導くことができました。

2020年4月27日  親権 

■相談事例

相談者様は、本件依頼時40代の女性です。相談者様は、相手方である夫(以下、「相手方」と言います。)から離婚訴訟を提起されていました。
相談者様は、当初、別の事務所の弁護士に依頼して応訴していたのですが、良好な信頼関係も築けなかったことから、その弁護士に辞任されてしまいました。
そのような中で、当事務所の弁護士に相談した結果、本件事件を委任することにしました。

 

■解決結果

1.相談者様の意向は、絶対に同居して生活しているお子様と別れたくないというものでした。そこで、弁護士は離婚について争うとともに、仮に離婚が認められたとしても親権者を相談者様にすることを第1目的としました。そのうえで、離婚が認められた場合に備えて財産分与、養育費、年金分割の請求をしました。

2.親権者については、相手方にもそれなりに有利な証拠があったものの、離婚調停と平行して申し立てられた面会交流審判で、相手方に直接の面会交流が認められず、年3回の写真等の送付に制限されました(詳しくはこちら)。直接面会交流が実施できない人物が親権者となることは考え難いため、仮に離婚が認められた場合の親権者については早期の段階でご相談者様にほぼ決まりました。

3.離婚請求については、当初婚姻関係破綻がないことや相手方の暴力や過去の不貞による有責配偶者性を主張しましたが、今一つ決め手に欠け、実質的な別居期間を考慮すると相手方の離婚請求が認められてしまう可能性がありました。
また、財産分与についても基準時、相手方が婚姻前から高所得の有資格者であったことを理由とした財産分与の割合、不動産の評価額など多数の争点が形成され、一筋縄ではいかない状況でした。
養育費についても、相手方の収入が高かかったことから、当方が当時の養育費算定表を超える金額の養育費を求めたため、この点でも激しい争いがありました。

4.こうした状況の中、相手方とその過去の不貞相手(以下、「不貞相手」と言います。)が再び交際しているのではないかという疑いが、相談者様が集めてきた相手方らのSNSのページ等から生じました。
過去に相談者様は不貞のことで、相手方との接触禁止を内容に含む示談をしていたので、接触のみならず、交際をしていることが立証できれば、相手方に有責配偶者性を強く基礎づけることになります。
ただ、これらの情報だけでは証拠として弱かったので、より強い証拠を入手すべく、弁護士自らが何度も相手方や不貞相手の住居の周辺等を調査した結果、特定の曜日に相手方が自宅にいる可能性、そのタイミングで不貞相手も相手方宅にいる可能性が高いとの予測を立てることができました。
そして、この情報をもとに探偵業者に調査を依頼しました。事前の弁護士の調査で調査時間帯も絞りこむことができたので、比較的安価で調査を依頼することができました(相談者様に高額の調査料金を負担することは困難でした。)。
そして、探偵業者から、調査後に、調査日に相手方自宅から、相手方と不貞相手が自宅から出てくる場面、その後、相手方と不貞相手が買い物に出て、相手方宅に戻ってくる場面及びその後長時間不貞相手が滞在していた場面の写真とその状況を説明した報告書が提供されました。
この状況から、少なくとも接触禁止の示談に違反していることはもちろんのこと、その時点で相手方と不貞相手が交際を伺わせるような証拠を獲得することができ、SNSのデータ等と合わせると二人が交際していることが明確になりました。その段階で、相手方に対して慰謝料請求の反訴、不貞相手に対して慰謝料請求の訴訟提起を行いました。ここで一つ考えを巡らせて、不貞相手の訴状の送達先を住民票上の住所ではなく、相手方の住所としたところ、相手方が同居人に対する郵便として訴状を受領しました。この事実も不貞関係を立証する事情として用いました。
そして、決め手として、相手方に対する反対尋問で、相手方が現在不貞相手と同棲していることを認める発言を引き出すことができ、相手方が相談者と別居開始後、長期間にわたって不貞関係にあったことを立証することができました。

5.そして、最終準備書面で、各証拠の持つ意味を合理的かつ丁寧に主張し、相手方が有責配偶者であり、離婚が認められないことを明らかにしました。その後、和解協議の機会が設けられましたが、相手方は、裁判官が不貞関係について認める方向であるとの心証開示をしたにもかかわらず、強気な姿勢を崩さず和解協議は決裂しました。最終的に第1審判決は、相手方の不貞行為による有責配偶者性を丁寧に認定して相手方の離婚請求を棄却した上、相手方と不貞相手に慰謝料の支払い命ずる仮執行宣言付き判決を言い渡しました。

6.当然のことながら、相手方も不貞相手は控訴してきました。こちらも、一歩も引かない意思を示すべく、認められなかった慰謝料請求分の控訴をするとともに、引き続き、養育費、財産分与、年金分割の附帯処分の申立てを行いました。さらに相手方に対してプレッシャーをかけるため、一審で認められた慰謝料請求の仮執行宣言付き判決を使って、相手方の預金312万7696円を差し押さえました。

7.控訴審でも相手方の不貞行為を中心に主張を尽くした結果、和解協議の席上、高等裁判所は、第1審判決と同様に相手方と不貞相手の不貞関係を認める心証開示を行い、これを前提に和解協議を行いました。相手方としては、是が非でも離婚したかったようで、こちらの要求を次々と飲んでいきました。 最終的に、離婚には応じることになったものの、①お子様の親権者はご相談者様、②養育費はお子様が22歳になるまで月額25万円、③既に取り立てた312万7696円は相談者様のものとする、④相談者様は財産分与として4000万円取得、⑤年金分割の按分割合を0.5とするなどを内容とする訴訟上の和解が成立しました。

 

■弁護士のコメント

最終的に有利な解決を導くことができたのは、不貞関係の立証に成功したからだと思います。有責配偶者と認定された判決が高等裁判所でも下されると、まだ小さいお子様が独り立ちするまで婚姻関係を継続しなければならないという恐怖が相手方にあったのだと思います。
最終的に有利な解決をすることができ、相談者様にも大変喜んでいただくことができました。
私自身も、何度も相手方らの住居周辺を調査する、しつこいくらい丁寧に主張立証するといった泥臭く、地道に戦うという自分らしい戦いをすることができました。今回の解決結果そのものも嬉しく思っていますが、そのことをとても誇りに思っています。

養育費増額調停を利用して親権を維持しました。

2019年8月7日  親権 

■相談事例

相談者様は、本件依頼時40代の女性です。本件の相手方である元夫との間で調停離婚が成立し、お子様(本件依頼時14歳)の親権は相談者様が獲得したのですが、離婚調停の際に面会交流については詳細を定めていませんでした。
そのような状況下で、相手方は、離婚成立後も相談者様とお子様との生活に介入したり、離婚調停で決まった事項を守らなかったり、午後11時を過ぎてもお子様を自宅に帰さないなど不適切な面会交流を実施したりしていました。相談者様は、こうした相手方の行動に悩んだ末、当事務所の弁護士に対して相談し、本件事件を委任することにしました。

 

■解決結果

1.弁護士は、相手方に対して内容証明郵便通知書を送り、これまでの相手方の不適切な行動について改善を求めるとともに、今後の面会交流については弁護士を通じて相談者様の事前の承諾を得るよう求めました。しかし、帰宅時間が午後11時を過ぎる交流をやめるなど相手方の態度は一部改善したものの、こちらの求めた事前承諾による面会交流の要請を無視し、無断での面会交流を継続しました。
そこで、弁護士が再度、内容証明郵便通知書を送付して事前に承諾をとって面会交流をするように要請しました。そうしたところ、相手方は、弁護士に依頼して、こちらの主張について反論するとともに、面会交流調停を起こす旨を予告してきました。

2.そのような予告を受けて検討した結果、その時期は、丁度お子様の年齢が15歳となる時期で、養育費の増額が認められる時期に差しかかっていたことから、面会交流調停にあわせてその当時の養育費月額1万5000円の増額調停を申し立てることにしました。
また、相手方は定職にはついているものの、その収入は年収350万円程度で相談者様の半分程度しかなく、離婚調停ではそれが決め手となって、相談者様が親権者になりました。このように相手方の弱点は、このような経済的基盤の脆さにあると考え、今回養育費の増額を求めることで、相手方に経済的にプレッシャーを与え、調停においてこちらに有利な事情が引き出すことができるのではと考えて、養育費増額調停を行うことにしました。
この点、相手方が養育費の増額を拒絶する可能性も考えましたが、面会交流調停で自分に有利な条項を定めようとする手前、相手方において養育費の増額は拒絶しにくいだろうとも考えました。

3.その後、相談者様から養育費増額調停の申立が、相手方からは面会交流調停のほかに、親権者変更調停の申立がなされました。相手方の申立書を見る限り、相手方の要求は、親権者変更が主たるもので、面会交流については予備的なものという位置づけでした。親権者変更調停であっても養育費の増額はこちらに有利になること弁護士は考えていました。

4.上記3つの調停事件は、同一期日で行われましたが、最初に比較的審理のしやすい養育費の増額について調停が進められ、相手方は弁護士の読み通り養育費の増額にあっさりと応じ、養育費を月額1万5000円から月額3万円に増額するという調停が成立しました。

5.そして、養育費増額調停が成立したにもかかわらず、相手方は養育費の支払いを遅延するようになりました。まさに弁護士の予測したとおり、相手方の経済的基盤の脆さが露呈することになりました。
そして、弁護士は、親権者変更について、相手方の主張に対して反論することはもちろんのこと、こうした養育費の不払いを細かく指摘し、養育費の支払いを怠る者は親権者として相応しくないということを強く主張しました。また、お子様がそれなりに学費のかかる私立高校への進学を決めたことから、経済力のない相手方は、なおさら親権者として相応しくないという主張もしました。このように相手方の経済的基盤の弱さを徹底的に突いて、相手方が親権者になることはありえないという雰囲気を作り出しました。

6.そうしたところ、お子様が15歳であることを踏まえて基本的にはお子様の意思が最優先であると述べながらも、養育費の不払いについては調停委員も家庭裁判所調査官も無視できず、調停の流れは大きく相談者様側有利に傾いていきました。相手方は、家庭裁判所調査官による調査を希望し、そこに望みを託しているようではありましたが、調停の流れが大きくこちらに傾いた中で、結局のところ、家庭裁判所調査官による調査が実施されることはありませんでした。
家庭裁判所は、相談者様と相手方が調停外でお子様に意思確認をして、お子様が親権者変更を積極的に希望しない限り、家庭裁判所の調査官調査を行うまでもなく、親権者の変更は行うべきではないと結論づけました。そして、相談者様と相手方が、お子様への意思確認を行った結果、お子様が相談者様と相手方双方に対して親権者変更を希望しない旨の意思表示をしたので、相手方は親権者変更調停を取り下げ、親権は維持されることになりました。

7.なお、面会交流については、基本的には高校生になったお子様に気持ちを尊重して実施することを前提に、夜22時までに自宅に帰るというお子様の安全に配慮した調停を成立させることができました。

 

■弁護士のコメント

養育費増額調停によって養育費の増額を勝ち取るとともに、養育費の不払いを誘発させて、相手方の親権者の適格性を否定するという作戦が奏功したことが、親権維持の結論を導くことができた大きな要因だったと思います。調停員も調査官も養育費を満足に支払っていない人が親権者として名乗りを上げていることに強い違和感を持っているようでした。
相談者様も親権を維持できたことで大変に満足していただけました。
本件を通じて、事案をよく検討して、こちらの強みを生かしつつ相手方の弱点を的確に突いていくことと戦略的に手続を進めることの重要性を再認識させられました。

最高裁判所平成31年4月26日決定-子の引渡しを命ずる審判を債務名義とする間接強制の申立てが権利の濫用に当たるとされた事例

2019年5月10日  子の引渡し, 強制執行, 親権 

子の引渡しを命じる審判を債務名義とする間接強制の申立てが権利の濫用に当たるとされた最高裁判所の決定がでましたのでご報告します。

1.本件のテーマ
 子の引渡しを命ずる審判を債務名義とした間接強制決定が認められるか。

2. 事案の概要
(1)  夫(抗告人)と妻(相手方)は,平成19年6月に婚姻し,平成20年4月に長男を,平成22年10月に二男を,平成25年4月に長女をもうけた(以下,上記の子ら3名を併せて「本件子ら」という。)。
(2) 妻は,平成27年12月,夫に対し,「死にたいいやや。こどもらもすてたい。」という内容のメールを送信した。これを契機に,夫は,本件子らを連れて実家に転居し,現在まで相手方と別居している。
(3) 奈良家庭裁判所は,平成29年3月,妻の申立てに基づき,本件子らの監護者を妻と指定し,夫に対して本件子らの引渡しを命ずる審判(以下「本件審判」という。)をし、同審判は同年7月に確定した。
(4) 妻は,平成29年7月,奈良地方裁判所執行官に対し,本件審判を債務名義として,本件子らの引渡執行の申立てをした。同執行官が,夫宅を訪問し,本件子らに対して妻のもとへ行くよう促したところ,二男及び長女はこれに応じて妻に引き渡されたが,長男は,妻に引き渡されることを明確に拒絶して泣きじゃくり,呼吸困難に陥りそうになった。そのため,同執行官は,執行を続けると長男の心身に重大な悪影響を及ぼすおそれがあると判断し,長男の引渡執行を不能として終了させた。
(5) 妻は,平成29年8月,大阪地方裁判所に対し,夫及びその両親を拘束者とし,長男を被拘束者とする人身保護請求をした。長男は,同年12月,その人身保護請求事件の審問期日において,二男や長女と離れて暮らすのは嫌だが,それでも夫らのもとでの生活を続けたい旨の陳述をした。同裁判所は,長男が十分な判断能力に基づいて夫らのもとで生活したいという強固な意思を明確に表示しており,その意思は夫らからの影響によるものではなく,長男が自由意思に基づいて抗告人等のもとにとどまっていると認め,夫らによる長男の監護は人身保護法及び人身保護規則にいう拘束に当たらないとして,相手方の上記請求を棄却する判決をした。この判決は,平成30年2月に確定した。
(6)原審は,抗告人に対し,長男を相手方に引き渡すよう命ずるとともに,これを履行しないときは1日につき1万円の割合による金員を相手方に支払うよう命ずる間接強制決定をすべきものとした。

3.判決内容について
(1)  子の引渡しを命ずる審判は,家庭裁判所が,子の監護に関する処分として,一方の親の監護下にある子を他方の親の監護下に置くことが子の利益にかなうと判断し,当該子を当該他方の親の監護下に移すよう命ずるものであり,これにより子の引渡しを命ぜられた者は,子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ,子の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ,合理的に必要と考えられる行為を行って,子の引渡しを実現しなければならないものである。このことは,子が引き渡されることを望まない場合であっても異ならない。したがって,子の引渡しを命ずる審判がされた場合,当該子が債権者に引き渡されることを拒絶する意思を表明していることは,直ちに当該審判を債務名義とする間接強制決定をすることを妨げる理由となるものではない。
(2) しかしながら,本件においては,本件審判を債務名義とする引渡執行の際,二男及び長女が相手方に引き渡されたにもかかわらず,長男(当時9歳3箇月)については,引き渡されることを拒絶して呼吸困難に陥りそうになったため,執行を続けるとその心身に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるとして執行不能とされた。また,人身保護請求事件の審問期日において,長男(当時9歳7箇月)は,相手方に引き渡されることを拒絶する意思を明確に表示し,その人身保護請求は,長男が抗告人等の影響を受けたものではなく自由意思に基づいて抗告人等のもとにとどまっているとして棄却された。
(3)以上の経過からすれば,現時点において,長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引渡しを実現するため合理的に必要と考えられる夫の行為は,具体的に想定することが困難というべきである。このような事情の下において,本件審判を債務名義とする間接強制決定により,夫に対して金銭の支払を命じて心理的に圧迫することによって長男の引渡しを強制することは,過酷な執行として許されないと解される。そうすると,このような決定を求める本件申立ては,権利の濫用に当たるというほかないとして、間接強制の申立を却下した。

4.コメント
 この判決は、子の引渡しの強制執行と人身保護請求で現れた事情をもとに、「長男の心身に有害な影響を及ぼすことのないように配慮しつつ長男の引渡しを実現するため合理的に必要と考えられる夫の行為は,具体的に想定することが困難」という理由づけのもと妻の間接強制決定を権利の濫用として却下しています。このうち、子供が引渡しを拒絶して呼吸困難になるといった事情は特殊な事情であると思われるのですが、子供が自由意思で引渡し拒絶をすることというのはよくあるケースのように思われます。特に子が年齢的にも大きくなっているような事案では子供も自分の状況を理解して自分の意思で引渡しを拒絶することはよくあることのように思います(その意味では子供が9歳の時点での意思表示をもって自由意思に基づく拒絶の意思を認めたというのはかなり大きなことだと思います。)。この決定を呼吸困難まで起こった特殊なケースで限定的例外事例としてみるのか、子供の自由意思を広く尊重したケースとしてみるのかは今後の重要になってそうです。
 今回のケースでは、子の引渡しの強制執行と人身保護請求が前提にありましたが、そうではなく、最初から間接強制の申立を行っていた場合には同じ結論が出たのかも気になります。というのも、裁判所の手続の中で生じた事情をもって事実認定がなされているので、仮に妻側が最初から間接強制をしていれば、妻側に不利な事情というのは現れなかったわけです(妻側が直接強制を求めたことを批判しているわけではありません。)。その意味で最初から間接強制の申立がなされていた場合に同じ結論になったのかは気になります。

離婚慰謝料について-最高裁平成31年2月19日判決

2019年5月5日  慰謝料請求 

平成31年2月19日に離婚による慰謝料についての最高裁判所判決が出ましたので紹介させて頂きます。

1.本判決のテーマ
不貞相手に対して離婚したこと自体を理由とする慰謝料請求ができるのか。

2.事案の概要
(1)夫と妻は,平成6年3月,婚姻の届出をし,同年8月に長男を,平成7年10月に長女をもうけた。
(2)夫は,婚姻後,Aらと同居していたが,仕事のため帰宅しないことが多く,妻が上告人の勤務先会社に入社した平成20年12月以降は,妻と性交渉がない状態になっていた。
(3)不貞相手は,平成20年12月頃,上記勤務先会社において,妻と知り合い,平成21年6月以降,妻と不貞行為に及ぶようになった。
(4)夫は,平成22年5月頃,不貞相手と妻との不貞関係を知った。妻は,その頃,不貞相手との不貞関係を解消し,夫との同居を続けた。
(5)妻は,平成26年4月頃,長女が大学に進学したのを機に,夫と別居し,その後半年間,夫のもとに帰ることも,夫に連絡を取ることもなかった。
(6)夫は,平成26年11月頃,妻に対して,夫婦関係調整の調停を申し立て,平成27年2月25日,Aとの間で離婚の調停が成立した。

3.最高裁判所の判断(わかりやすく登場人物を夫、妻、不貞相手に読み替えています。)

(1) 夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
 夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
 したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
 以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,不貞相手は,夫の妻であった妻と不貞行為に及んだものであるが,これが発覚した頃に妻との不貞関係は解消されており,離婚成立までの間に上記特段の事情があったことはうかがわれない。したがって,夫は,不貞相手に対し,離婚に伴う慰謝料を請求することができないというべきである。

4.弁護士のコメント
(1) まず、勘違いしないでいただきたいのは、この判決は離婚そのものを理由とする第三者(不貞相手)に対する慰謝料請求を原則として否定したものであり、不貞関係を理由とする慰謝料請求を否定したわけではありません。不法行為の消滅時効は損害と加害者と知ったときから3年です(民法724条)。今回の事例では、夫が不貞相手と不貞の存在を知ってから3年が経過しており、不貞関係を理由とする慰謝料請求権は消滅時効にかかっていました。そこで、夫側は離婚成立自体を損害と構成とすることで、損害の発生時を離婚成立時として時効の問題をクリアしようと考えていたのではないかと思われます。
(2) 本件では、原則として第三者に対する離婚そのものを理由とする慰謝料請求権を否定していますが、例外として「当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるとき」には、離婚そのものを理由とする慰謝料請求権が発生するとしています。この特段の事情については事案の集積が必要となりますが、私としては、不貞行為の存在だけでは足らず、それ以外にも夫婦関係を破たんさせるような行動が必要となるように思われ、そうなるとかなり限定的な場面でしか離婚そのものを理由とする慰謝料請求というのは認められないのではないかと考えております。
(3) また、慰謝料請求ができなくなるリスクを低減するためにも、不貞相手に対して慰謝料請求をするのであれば、離婚後3年以内と考えず、不貞関係と相手方を知ってから3年以内に法的措置をとるべきであると考えます。

相手方とお子様の面会交流を年3回の写真等の送付に制限できました。

2018年6月4日  親権 

■相談事例

1.相談者様は、本件依頼時40代の女性です。相手方である夫から離婚訴訟を提起されていました。相談者様は、当事務所の弁護士に離婚訴訟を委任しして応訴していました。離婚の訴訟の中では小学4年生(面会交流審判時)のお子様の親権が争点になっていました。

2.相手方は、長期間にわたって面会交流を申出てこなかったため親権者として相応しくない旨の主張を相談者様がしたところ、相手方は、とってつけたように面会交流の申出をしてきました。

これに対し、相談者様も、面会交流をすることお子様のために望ましいと考えていましたので、お子様と相手方との面談による面会交流を実施しました。ところが、この面会交流時の相手方の不適切な態度をきっかけとして、お子様が相手方に強い拒絶をするようになり、日常生活にも不都合を生じ、病院に通院するようにもなってしまいました。

3.このような事情から、その後の面会交流については当面見合わせたいとの申出を相手方にしたところ、相手方が離婚訴訟と平行して面会交流調停を申し立ててきました。そこで、相談者様は面会交流調停についても当事務所の弁護士に委任して対応することにしました。

 

■解決結果

1.既に離婚訴訟では,家庭裁判所調査官による調査が行われており、相談者様が親権者となるべきであるとの意見が出されていましたので、それを証拠として提出しました。また、お子様が通院していた病院の診断書を提出しました。そのうえで、お子様が相手方に対して強い拒絶感を持っておりそのことが日常生活にも悪影響を与えており、面会交流を実施することはお子様にとって不利益が大きいと主張しました。

2.このような主張立証をもとに、改めて家庭裁判所の調査官調査が実施され、当面の間、直接的な交流は実施するべきではないという意見が出されました。そのうえで、直接的な交流が実施できない間、お子様に影響を与えない範囲で相手方がお子様の様子が把握できる方法を検討、議論しました。

3.そして、最終的に①相手方とお子様との面談による交流を当面の間、見合わせること、②お子様が中学校を卒業する頃に面談による交流について再度協議すること、③相談者様はお子様から面談の希望した場合には面談による交流を妨げないこと、④相談者様は相手方に対して年3回お子様の通知票の写しとお子様の写真を2枚程度送付することを内容とする調停に代わる審判がなされ、同審判は確定しました。

 

■弁護士のコメント

お子様の意向を審判に反映することができてよかったと思っております。 調停では、相談者様自身が相手方に対する嫌悪感や離婚訴訟で親権に獲得を図る目的から面会交流を一方的に拒絶しているという誤解を招かないように留意しました。そのような誤解を裁判所に与えてしまうと、相談者様がお子様の意思をねじ曲げているなどとして、お子様の真意が裁判所に伝わらないということになりかねないからです。お子様の意向や実情を誤解を生むことなく伝えきれたことでこのような審判を獲得できたのだと思います。

離婚時に多額の財産分与を獲得することができました。

2017年6月16日  慰謝料請求 

■相談事例

相談者様は、50代の女性です。本件事件当時にはお子様達は既に全員成人していました。
結婚後、相手方である夫の単身赴任のため,相手方とは別々に生活している期間が長かったのですが,夫の退職を機に再び同居することになりました。ところが、同居してからしばらくして、相手方が家を出て別居するとともに、離婚調停を申し立ててきました。相談者様は、今後の生活のことも考えて離婚をすべきかどうか迷いましたが、相手方が離婚調停で提案した財産分与等の金額は500万円程度で、夫婦で築いてきた財産に比べて大幅に少ない金額であったことから相手方の言い分に納得ができず、離婚調停は不成立に終わりました。
その後、相手方から離婚訴訟が提起されて、訴状が相談者様のもとに届きました。ここに至って、自分一人で離婚訴訟に対処することは難しいと考え、当事務所の弁護士に相談して本件事件を依頼することにしました。

 

■解決結果

離婚事件の方針について相談者様とよく話し合い、適切な財産分与が達成できれば離婚そのものに応じても構わないという方針で訴訟を進めることになりました。ただし、相手方を牽制する意味でも相手方の不貞行為についてある程度主張立証しておき、有責配偶者の主張がいつでも出せるような状況を作っておきました。
今回の事件では、相手方には不動産、預貯金、証券、保険、企業年金、株式の配当金などの多数の財産があり、それを適切に掌握して,財産分与の対象財産に含めることが重要なポイントになりました。
実際、相手方が財産分与の対象となる自己名義の財産として提示してきた財産はたった10個で、最終的に判明した財産の3分の1にも満たないものでした。
そこで、相談者様に家の中に残されていた相手方の財産に対する手がかりを探して頂き、それを弁護士が分析して多数の未開示財産があることを主張立証しました。そうしたところ、相手方は次々と未開示の財産を開示し(もちろん任意の開示をしなければ裁判上の手続による開示を予定していました。)、約1年かかりましたが、最終的に相手方の財産をほぼ特定することができました。
そして、財産分与についてある程度整理がついた段階で,財産分与以外の点について調整を行い、無事に和解離婚に至ることができました。相談者様は最終的に、調停段階で相手方から提示されていた500万円の10倍以上の5000万円を超える財産分与を獲得することができました。

 

■弁護士のコメント

当初、相手方から提示されていた金額の10倍以上の財産分与を獲得することができ、相談者様にも大変喜んで頂くことができました。事件処理の結果について大変に満足しています。
事件処理にあたって、相談者様が探してきて下さった山のようにある書類を一つ一つ粘り強く読み込んで分析し、財産分与対象財産を特定する主張につなげられたことが良い結果につながったと思います。また、その前提には妥協することなく、家中の書類を探し回って下さった相談者様の努力があります。依頼される方の協力があれば弁護士は大きな力が出せるのだということをあらためて実感しました。

同居したままの状況で離婚調停を成立させました。

2016年12月5日  未分類 

相手方の不貞を理由に離婚調停を申し立てたがなかなか前に進まず・・・

■相談事例

相談者様は、しっかりとした収入のある40代の女性です。相談当時から離婚調停成立に至るまで、夫である相手方と中学生になるお子様と3人で一緒に生活してきました。離婚のきっかけは相手方の不貞です。相談者様は、本件以前に相手方の不貞を理由に離婚を申し出たことがあります。しかし、これを受けた相手方はお子様を連れて失踪してしまいました。このとき、相談者様は、行方不明になってしまったお子様を取り戻すためにやむなく、相手方とやり直すという選択をとらざるをえませんでした。しかし、その後も夫婦の溝は埋まらず、相談者様は離婚を決心して離婚調停を申し立てました。しかし、相手方は離婚するかどうかもはっきりさせず、離婚調停はなかなか前に進みませんでした。相談者様は、自分一人で離婚調停を進めることに限界を感じ、当事務所の弁護士に依頼しました。

 

■解決結果

本件の大きな争点は離婚の有無、親権者、財産分与でした。 離婚については弁護士が介入したところ、相手方の意思は離婚するという方向に傾いてきました。その段階で、財産分与のための双方の財産の整理、親権者決定のための主張書面の提出などを行い、審理のスピードを上げて、早く決着がつくように離婚調停が早く進むように調整しました。
お子様の親権については双方が激しく争いました。ここでは、当事者双方の主張立証を前提とした家庭裁判所調査官の調査結果が勝負の鍵となりました。そして、相談者様のこれまでの監護実績や経済状況が相手方より相談者様の方が優れていることなどを強調した結果、家庭裁判所調査官の調査報告書では親権者は相談者様がなるべきである旨の意見を獲得することができました。この家庭裁判所調査官の意見を受けて、相手方は親権を諦める意思を見せるようになりました。
その後、双方が持分を持っている自宅不動産の財産分与が焦点になりました。ご相談者様本人はさほど自宅にこだわりはありませんでしたが、お子様は自宅不動産に住みたいという気持ちがあったことから、何とかして自宅不動産を確保しなければなりませんでした。当初、相手方は自分だけが自宅不動産から出ていくことや相談者様の単独所有とすることに抵抗感を示していました。しかし、お子様の気持ちを伝えて粘り強く協議した結果、一定時期までは相談者様が住宅ローンを全額負担することを条件に相談者様と子供が二人で自宅不動産に居住し、その後に自宅不動産を売却することとで話がまとまりました。
以上のような経緯で調停を成立させ、相談者様はお子様の親権を獲得したうえで離婚することができました。

 

■弁護士のコメント

事件処理にあたっては、別居期間が全くないことが常に念頭にありました。なぜなら、離婚調停で話がまとまらず、離婚訴訟に至れば婚姻破綻を主張立証できるかという点でかなり苦しむことが予想されたからです。確かに相手方の不貞という要素もありましたが、一度やり直している状況であったために離婚原因の決め手にするのは難しいだろうと判断していました。これらの事情から、当方としては何とかして調停段階で離婚を成立させたい事件でした。
こちらの弱みを悟られないように慎重に手続を進めつつ、相手方に、「やっぱり離婚をするのをやめる。」などと翻意させないよう調停をコントロールするように努力しました。最終的に無事に離婚を成立させることができてほっとしています。

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