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弁護士コラム

カテゴリ:慰謝料請求

ギャンブル依存症者の夫との離婚を速やかに成功させ、離婚後の財産や養育費を確保することができました。

2021年4月22日  慰謝料請求 

■相談事例

相談者様は、本件依頼時40代の女性です。

相談者様は、相手方である夫(以下、「相手方」と言います。)と成人した子供1名と未成年者の子供1名の4人家族で生活していました。

相手方は、会社員として普通に生活をしていましたが、ギャンブルに深くのめりこんでおり、家のお金を使い込んだり、消費者金融から借金したりしてまで、ギャンブルをするようになっていました。相談者様は、夫がギャンブル依存症ではないかと考えましたが、夫は相談者様が話をしても自分はギャンブル依存症ではないと考えて特に治療などの行動に移しませんでした。一方、相談者様はギャンブル依存症者の家族の集まりがあることを知り、そこに足繁く通った結果、夫がギャンブル依存症者であることを確信して、勉強したり、助言の受けたりしながら夫のギャンブル依存症の問題に向き合っていました。その中で、給与の入る相手方名義の預金通帳、印鑑、キャッシュカード等を預って管理するとともに、相手方に1か月分の必要なまとまったお金を渡して生活するようになりました。

しかしながら、ギャンブル依存症は次第にひどくなっていき、消費者金融の借金から増えて350万円ほどまで借金が膨れ上がりました。また、自動車ローンのボーナス払い用のお金に手を付けてギャンブルにつぎ込んでしまい、自動車ローンを延滞することになってしまいました。なお、自宅の住宅ローンについては遅滞していませんでした。そのような中で夫婦の仲は悪くなっていき、口もきかなくなっていきました。

そして、相手方から離婚の話を持ち掛けられるとともに、相手方から財形貯蓄の解約用紙に印鑑を押すように言われました。その際に、相手方は自宅不動産から出ていく旨を告げていました。

相談者様は、離婚をするのかしないのか、離婚をした場合に今後の生活をどうするのかを考えるべく、当事務所に相談しました。

 

■解決結果

1.相談者様は、相談時点で離婚はやむを得ないと思っていました。一方で、自宅不動産には住み続ける意向はあったものの、相手方がきちんと支払ってくれるかどうか不安ということ、未成年の子供の養育費をきちんと支払ってくれるかということ及び今後の生活費について悩んでいました。

2.弁護士は、離婚に至る経緯を聞いた後に、相談者様と相手方の預貯金、生命保険、財形貯蓄の金額や自動車、自宅不動産などの財産関係について詳細に聞き取りをしました。夫の財形貯蓄が約278万円、その他に夫名義の定期預金600万円があることがわかりました。そこで、①金銭については夫の関心事である財形貯蓄を夫に全額渡す代わりに、定期預金から500万円(内訳:養育費154万円一括、財産分与346万円)を受け取ること、②ローンの完済している夫名義の軽自動車の財産分与を受けること、③自宅不動産については相談者様が財産分与を受けて、相手方が住宅ローンと税金関係を負担すること、を内容とする離婚条件案を提案しました。

相談者様は、相手方が住宅ローンについてきちんと支払きれるかどうかということを気にしていましたが、協議離婚書で合意することはできるものの、究極的には相手方次第であることから延滞によって自宅不動産を失う可能性があることを前提に少なくとも当面環境も変えることなく、住宅費の負担なく、住めるということをメリットと考えて、それまでの間に家族の財産を充実させていくことが重要であり、仮に相手方が完済まで至ればそれは儲けものと捉えた方がいいのではないか、と話したところ、相談者様は納得してくださいました。

また、相手方が財産分与の金額が大きすぎることについて不満を述べた場合には、離婚には直ちに応じられないことと相手方の退職金についても財産分与の対象とすることもできるが(財産分与額の増額)、今回はあえて財産分与の対象としていないことを説得材料として話し合ってみたらどうかということも助言しました。

3.このような相談結果で決めた上記条件を相談者様が相手方に伝えたところ、相手方がその条件で離婚条件を受け入れたので、相談者様は弁護士に協議離婚書の作成を依頼しました。それを受けて弁護士は相手方の気が変わらないことが重要と考えて2日で協議離婚書を作成して、相談者様に渡ししました。

4.その後、相談者様は相手方と協議離婚書を交わして、離婚届を提出するとともに養育費の支払や財産分与についても協議離婚書のとおりに行うことができました。その間、相談者様が迷われる場面もありましたが、弁護士の助言を受けて上手く解決まで持っていくことができました。

 

■弁護士のコメント

1.今回の事件では、相談者様と相手方で話し合いができる状況であり、相手方を無駄に警戒させる必要もないとして代理人として介入することは控えました。

2.ギャンブル依存症については依存症者本人の問題(法的問題としては借金問題や窃盗や横領などによる刑事事件)とその依存症者の家族の問題(家族が依存症者によって経済的な不利益を被ることなど)があります。

本件は依存症者の家族である相談者様やお子様たちに被害が生じるのをどのように防ぐかが問題でした。今回、相談者様は相手方名義の通帳や印鑑やキャッシュカードを管理していましたが、相手方の名義である以上、手段を尽くせば、相手方においてそれらの管理を取り戻すことは可能な状況にありました。したがって、今回の問題は、ギャンブル依存症が進行することで家庭の財産が流出してしまうことを防ぎ、相談者様やお子様達が経済的に困窮しないようにしなければなりませんでした。

3.今回速やかに離婚を成立させて、養育の支払と財産分与を完了させることができ、目的を達成することができたので嬉しく思います。相談者様にも速やかに解決できたことで喜んでいただくことができました。

4.今回の問題を通じてギャンブル依存症問題において弁護士ができることは多いと実感することができました。これからギャンブル依存症に関する問題について積極的に関わっていこうと決意しました。

離婚慰謝料について-最高裁平成31年2月19日判決

2019年5月5日  慰謝料請求 

平成31年2月19日に離婚による慰謝料についての最高裁判所判決が出ましたので紹介させて頂きます。

1.本判決のテーマ
不貞相手に対して離婚したこと自体を理由とする慰謝料請求ができるのか。

2.事案の概要
(1)夫と妻は,平成6年3月,婚姻の届出をし,同年8月に長男を,平成7年10月に長女をもうけた。
(2)夫は,婚姻後,Aらと同居していたが,仕事のため帰宅しないことが多く,妻が上告人の勤務先会社に入社した平成20年12月以降は,妻と性交渉がない状態になっていた。
(3)不貞相手は,平成20年12月頃,上記勤務先会社において,妻と知り合い,平成21年6月以降,妻と不貞行為に及ぶようになった。
(4)夫は,平成22年5月頃,不貞相手と妻との不貞関係を知った。妻は,その頃,不貞相手との不貞関係を解消し,夫との同居を続けた。
(5)妻は,平成26年4月頃,長女が大学に進学したのを機に,夫と別居し,その後半年間,夫のもとに帰ることも,夫に連絡を取ることもなかった。
(6)夫は,平成26年11月頃,妻に対して,夫婦関係調整の調停を申し立て,平成27年2月25日,Aとの間で離婚の調停が成立した。

3.最高裁判所の判断(わかりやすく登場人物を夫、妻、不貞相手に読み替えています。)

(1) 夫婦の一方は,他方に対し,その有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めることができるところ,本件は,夫婦間ではなく,夫婦の一方が,他方と不貞関係にあった第三者に対して,離婚に伴う慰謝料を請求するものである。
 夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが,協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても,離婚による婚姻の解消は,本来,当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
 したがって,夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は,これにより当該夫婦の婚姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても,当該夫婦の他方に対し,不貞行為を理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして,直ちに,当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは,当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。
 以上によれば,夫婦の一方は,他方と不貞行為に及んだ第三者に対して,上記特段の事情がない限り,離婚に伴う慰謝料を請求することはできないものと解するのが相当である。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,不貞相手は,夫の妻であった妻と不貞行為に及んだものであるが,これが発覚した頃に妻との不貞関係は解消されており,離婚成立までの間に上記特段の事情があったことはうかがわれない。したがって,夫は,不貞相手に対し,離婚に伴う慰謝料を請求することができないというべきである。

4.弁護士のコメント
(1) まず、勘違いしないでいただきたいのは、この判決は離婚そのものを理由とする第三者(不貞相手)に対する慰謝料請求を原則として否定したものであり、不貞関係を理由とする慰謝料請求を否定したわけではありません。不法行為の消滅時効は損害と加害者と知ったときから3年です(民法724条)。今回の事例では、夫が不貞相手と不貞の存在を知ってから3年が経過しており、不貞関係を理由とする慰謝料請求権は消滅時効にかかっていました。そこで、夫側は離婚成立自体を損害と構成とすることで、損害の発生時を離婚成立時として時効の問題をクリアしようと考えていたのではないかと思われます。
(2) 本件では、原則として第三者に対する離婚そのものを理由とする慰謝料請求権を否定していますが、例外として「当該第三者が,単に夫婦の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず,当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至らしめたものと評価すべき特段の事情があるとき」には、離婚そのものを理由とする慰謝料請求権が発生するとしています。この特段の事情については事案の集積が必要となりますが、私としては、不貞行為の存在だけでは足らず、それ以外にも夫婦関係を破たんさせるような行動が必要となるように思われ、そうなるとかなり限定的な場面でしか離婚そのものを理由とする慰謝料請求というのは認められないのではないかと考えております。
(3) また、慰謝料請求ができなくなるリスクを低減するためにも、不貞相手に対して慰謝料請求をするのであれば、離婚後3年以内と考えず、不貞関係と相手方を知ってから3年以内に法的措置をとるべきであると考えます。

離婚時に多額の財産分与を獲得することができました。

2017年6月16日  慰謝料請求 

■相談事例

相談者様は、50代の女性です。本件事件当時にはお子様達は既に全員成人していました。
結婚後、相手方である夫の単身赴任のため,相手方とは別々に生活している期間が長かったのですが,夫の退職を機に再び同居することになりました。ところが、同居してからしばらくして、相手方が家を出て別居するとともに、離婚調停を申し立ててきました。相談者様は、今後の生活のことも考えて離婚をすべきかどうか迷いましたが、相手方が離婚調停で提案した財産分与等の金額は500万円程度で、夫婦で築いてきた財産に比べて大幅に少ない金額であったことから相手方の言い分に納得ができず、離婚調停は不成立に終わりました。
その後、相手方から離婚訴訟が提起されて、訴状が相談者様のもとに届きました。ここに至って、自分一人で離婚訴訟に対処することは難しいと考え、当事務所の弁護士に相談して本件事件を依頼することにしました。

 

■解決結果

離婚事件の方針について相談者様とよく話し合い、適切な財産分与が達成できれば離婚そのものに応じても構わないという方針で訴訟を進めることになりました。ただし、相手方を牽制する意味でも相手方の不貞行為についてある程度主張立証しておき、有責配偶者の主張がいつでも出せるような状況を作っておきました。
今回の事件では、相手方には不動産、預貯金、証券、保険、企業年金、株式の配当金などの多数の財産があり、それを適切に掌握して,財産分与の対象財産に含めることが重要なポイントになりました。
実際、相手方が財産分与の対象となる自己名義の財産として提示してきた財産はたった10個で、最終的に判明した財産の3分の1にも満たないものでした。
そこで、相談者様に家の中に残されていた相手方の財産に対する手がかりを探して頂き、それを弁護士が分析して多数の未開示財産があることを主張立証しました。そうしたところ、相手方は次々と未開示の財産を開示し(もちろん任意の開示をしなければ裁判上の手続による開示を予定していました。)、約1年かかりましたが、最終的に相手方の財産をほぼ特定することができました。
そして、財産分与についてある程度整理がついた段階で,財産分与以外の点について調整を行い、無事に和解離婚に至ることができました。相談者様は最終的に、調停段階で相手方から提示されていた500万円の10倍以上の5000万円を超える財産分与を獲得することができました。

 

■弁護士のコメント

当初、相手方から提示されていた金額の10倍以上の財産分与を獲得することができ、相談者様にも大変喜んで頂くことができました。事件処理の結果について大変に満足しています。
事件処理にあたって、相談者様が探してきて下さった山のようにある書類を一つ一つ粘り強く読み込んで分析し、財産分与対象財産を特定する主張につなげられたことが良い結果につながったと思います。また、その前提には妥協することなく、家中の書類を探し回って下さった相談者様の努力があります。依頼される方の協力があれば弁護士は大きな力が出せるのだということをあらためて実感しました。

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