■相談事例
1.相談者様は、本件依頼時40代の女性です。相手方である夫から離婚訴訟を提起されていました。相談者様は、当事務所の弁護士に離婚訴訟を委任しして応訴していました。離婚の訴訟の中では小学4年生(面会交流審判時)のお子様の親権が争点になっていました。
2.相手方は、長期間にわたって面会交流を申出てこなかったため親権者として相応しくない旨の主張を相談者様がしたところ、相手方は、とってつけたように面会交流の申出をしてきました。
これに対し、相談者様も、面会交流をすることお子様のために望ましいと考えていましたので、お子様と相手方との面談による面会交流を実施しました。ところが、この面会交流時の相手方の不適切な態度をきっかけとして、お子様が相手方に強い拒絶をするようになり、日常生活にも不都合を生じ、病院に通院するようにもなってしまいました。
3.このような事情から、その後の面会交流については当面見合わせたいとの申出を相手方にしたところ、相手方が離婚訴訟と平行して面会交流調停を申し立ててきました。そこで、相談者様は面会交流調停についても当事務所の弁護士に委任して対応することにしました。
■解決結果
1.既に離婚訴訟では,家庭裁判所調査官による調査が行われており、相談者様が親権者となるべきであるとの意見が出されていましたので、それを証拠として提出しました。また、お子様が通院していた病院の診断書を提出しました。そのうえで、お子様が相手方に対して強い拒絶感を持っておりそのことが日常生活にも悪影響を与えており、面会交流を実施することはお子様にとって不利益が大きいと主張しました。
2.このような主張立証をもとに、改めて家庭裁判所の調査官調査が実施され、当面の間、直接的な交流は実施するべきではないという意見が出されました。そのうえで、直接的な交流が実施できない間、お子様に影響を与えない範囲で相手方がお子様の様子が把握できる方法を検討、議論しました。
3.そして、最終的に①相手方とお子様との面談による交流を当面の間、見合わせること、②お子様が中学校を卒業する頃に面談による交流について再度協議すること、③相談者様はお子様から面談の希望した場合には面談による交流を妨げないこと、④相談者様は相手方に対して年3回お子様の通知票の写しとお子様の写真を2枚程度送付することを内容とする調停に代わる審判がなされ、同審判は確定しました。
■弁護士のコメント
お子様の意向を審判に反映することができてよかったと思っております。 調停では、相談者様自身が相手方に対する嫌悪感や離婚訴訟で親権に獲得を図る目的から面会交流を一方的に拒絶しているという誤解を招かないように留意しました。そのような誤解を裁判所に与えてしまうと、相談者様がお子様の意思をねじ曲げているなどとして、お子様の真意が裁判所に伝わらないということになりかねないからです。お子様の意向や実情を誤解を生むことなく伝えきれたことでこのような審判を獲得できたのだと思います。